オルタネーターの交換

友人の車の車内灯をLEDに交換したところちらつくとの事。その後パネルの照明など電灯についてもちらつきが目立つ症状が出ているとの事でオルタネーター(ALT)の故障が疑われた。
どうせ、内部をばらしても、単体で修理するのは難しいので、リビルド品への交換をあらかじめ決めていたが、念のため症状の確認を行ったので紹介する。 (三菱はDENSOと違って、溶接ではなく、はんだ付けされているらしいので、ばらして修理することも可能だったかもしれない。いずれにせよ、日帰り修理は難しかったか。)

交換前の波形
交換前の波形

電灯がチラつくということは、低い周波数の電圧変動があるのだろうと思われたが、測定してみたところ約5Hzの脈流が観測された。ちなみに、測定は本来はALTの出力端子て行うべきだが、面倒だったのでバッテリー端子で計測している。
直流電圧としては14.5V程度あり、充電には問題がないレベルなので、運用上大きな問題は起きなったということになる。
変動幅は1.3Vp-p。経験がなくてよくはわからないが、いささか高いように思われる。
波形については、レクチファイヤのダイオードが死んだのだろうと推測していたのだが、どうも1相失った感じの波形ではない。ステーターコイルが断線したときの波形に似ているが、周波数が低すぎる。
回転数は確認しなかったが、アイドリング時に測定したので、切りのいいところで900rpm=15Hzとなる。3相交流を全波整流するから、その6倍の90Hz位*プーリー比の周波数が出ていないとおかしい。
とりあえず、ALTに異常がありそうなことは確認できたので、交換を進めた。

今回、残念ながら交換作業の記録は取っていない。私はCE9Aで交換の経験があったので、作業は簡単に終わると思っていたからだ。
しかし、ALTが一回り大きな上に、取り外したALTがエンジンマウントやインテークパイプに干渉してそのままでは取り出せない。
インテークパイプのコアサポートに固定されている部分を外して、少しずらしてやることで何とか取り出すことができた。
ちなみに、MD133171という型番のALTでしたが、年式や類別によってはもう一回り小さい容量のものが使われているようなので、そちらであればそれほど苦労せずに外せたのかも。
別のアプローチとして、ラジエターを外して、ALTを車体右側に移動して取り出すという方法もあるようですが、それはもっと面倒面倒だろう。

交換後の波形
交換後の波形

電圧レンジは変えている。交換後の波形は173mVp-pで、交換前に比べ非常に小さなものとなった、スイッチング電源が100mVp-p程度なので、こんなもんだろう。もちろん、症状の方も収まっている。
全然、正弦波を真ん中で折り返したような波形にはなっていないし、周波数も100Hz程度なので、どうもこれは3相交流を整流した際のリップルではなさそうだ。この辺を見ると、レンジは1msec/divで計測しているので、アイドルでも2msec/div位が適正だったと思われる。プーリー比は5倍くらいということだろう。
恐らく、低い周波数の変動は機器側(イグニッションコイルとか)の電流に伴う電圧低下や、レギュレーターの制御によるものだろう。
最初にキチンとリップルの測定ができていなかったのが悔やまれるが、以上の結果からみるとレギュレーターの故障だった可能性が高そうだ。