消火器を利用したオイルサーバー
本日はギアオイル用のオイルサーバーを作ってみようと思います。
ペール缶用のオイルサーバーが市販されています(私もTOKIKO製のものを愛用しています)が、特にデフオイルは固いため、
一人で車の下にもぐった状態で操作することができず、溢れたオイルを垂らして汚してしまうことがよくあります。
ハンドタイプのサクションガンでは後片付けもしなければならないのでなおさらですね。
きちんとしたリフトがある環境では、このような不便は無く、プライベーターならではの悩みと言えましょう。
また、こういったツールを作ることで自動化をする事は、それ自体が楽しい作業だったりします。
本オイルサーバーは次のコンセプトで設計・製作しました。
- 手元でコントロールでき、使い勝手がよいこと。
- 手じかに圧縮空気があるので、動力はエアとする。
- あまり加工に時間やお金がかからないこと。
- 見た目にもユニークであること。
宮田製消火器
ペール缶などは加圧するとすぐに膨らんでしまって耐圧が足りないので、エアを動力にする場合は0.8MPa程度に耐える圧力容器が必要です。
消火器は大きさや重さが手ごろで、耐圧も1MPa以上はあるようなので丁度よいです。期限切れのものがオークション等で安価で入手できる点も魅力的ですね。
今回、入手したのは宮田製ABC消火器 10型で、容積は4.0L程度です。うちの車ではミッションオイルが丁度一回で入れられます。
ちょっと容器の口が小さいですが、ペール缶から移すのに苦慮するほどでもないでしょう。
「移すのが面倒じゃないか」と言われると・・・そうかもしれませんw
まあ、その辺は使ってみてのお楽しみです。とにかく、製作に入っていきたいと思います。
内部構造
まず、内部の薬剤を捨てます。詳しくは知りませんでしたが、容器自体に安全弁等が付いていないので、内部にガスボンベないしは薬剤によるガス発生機構があることはわかっていましたので、おもむろに口を空けてみます。
はじめ、一生懸命ハンドルを回そうとして苦労しましたが、口金をまわしたら簡単に緩みました。本来は特殊工具が必要ですが、車高調のレンチが同等なので使用できます。大したトルクではないので、オイルフィルターレンチなどでも回るでしょう。
半分ばらしてしまっていますが、内部は写真のような構造になっており、ボンベは汎用のCO2ボンベです。通称Green GASと言われているやつですね。
ハンドルを握ると、ニードルがボンベの封を突き破り、容器内に圧力がかかるようになっています。スムーズに薬剤を出すためと思われますが、細いパイプ(写真には写っていない)を通じてCO2は容器の下から1/3の高さ付近から供給されます。圧力により、薬剤は中央のパイプを通じてノズルへ噴射されます。
エア供給部の取り付け
次にエアの供給部を取り付けます。
CO2ボンベを取り除き、ここにPT1/4のエルボを取り付けました。ボンベのネジ部は僅かに細いのでタップを切りなおしています。エルボの先にはハイカプラを取り付け、普段使っているエアホースが接続できるようにしました。入れるオイル量が多くなければ、内部に充填したエアの圧力のみでオイルを供給できると思われるので、タイヤバルブ等を取り付けてみるのも面白いかもしれません。
吐出側はそのまま利用します。元々PT1/4のネジがきられているため、ここにタケノコをつけてホースに接続します。純正のホースをそのまま使うのも面白いかと思ったのですが、短すぎて実用的ではないので交換することにしました。
吐出量はボールバルブで調整することにします。
ハンドルの取り付け
完成
ハンドルの取り付けですが、オリジナルはリベットになっていて破壊してしまったので、穴にタップを切ってネジで固定しました。
リア側はハンドルに溝がきってあり引っ掛けてあるだけなのですが、これを支える機構がエルボの上部の複雑な形状をしたパーツです。
ここには本来CO2ボンベの封を突き破るためのニードルと、噴出したCO2を容器内に戻す機構が内蔵されていますが、その部分は丸ごと切り落としています。
実際はこのような複雑な形状は必要なく、たまたま手近にあったほかの部品を流用しただけです。立方体に円周状のみぞを切るだけで用が足ります。下部のハンドルは持ち運びにも便利なので、欠かせない部分です。
上部ハンドルをつける事で、消火器の容姿を維持することにも成功しました。
気が向いたら使い勝手についてもレポートしていきたいと思います。